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はじめに

2025年11月1日に開催されたKotlin Fest 2025に参加してきました。この記事はその参加レポートになります。
私は10年ほどAndroidアプリの開発をしており、KotlinはStableになって以降ずっと使い続けています。Kotlin Festの存在自体はコロナ禍の頃に知っていたのですが、たしか知った年は開催が見送られ、その後情報をキャッチアップしないまま時が過ぎていました。今回、ようやく初参加することができました。

全体の様子

会場

会場は品川コンファレンスセンターで、駅から近くアクセスが良好でした。
会場内は飲食物の持ち込みが禁止されており、持参した水分が使えないことに最初は不安を感じました。しかし、スポンサーブースに飲食物が豊富に用意されており、しかも無限に補充される体制だったため、まったく心配不要でした。
スポンサーブースでは、スタンプラリーが用意されていて話しかけやすい雰囲気が作られていました。また、多くの企業がKotlinに関するプログラミング問題を出題しており、これがコミュニケーションのきっかけとして機能していたのも良かったです。

ノベルティ

受付時にもらえるトートバッグは、デザインと機能性を兼ね備えた素晴らしいものでした。他にもピンバッジやステッカーなど、様々なノベルティをいただきました。

ノベルティの写真

帰宅後、これらのノベルティは無事に子どもたちに回収されました。一番人気はスライムでした。

印象に残ったセッション

個人的に学びが多かったセッションを2つ紹介します。

せめて、ネイティブらしく - マルチプラットフォームと撤退戦略

スライド

クロスプラットフォーム技術を採用する際の大きな課題は、技術そのものの限界です。ネイティブアプリなら実装できる機能が、KMPではAPIやライブラリが提供されていないために実装できない、というケースがあります。
このセッションでは、KMPを使った開発において「ネイティブ実装へ撤退する」という選択肢について具体的に知ることができました。これは他のクロスプラットフォーム技術にはない大きなアドバンテージだと感じました。

セッションでは、具体的な撤退戦略の例を3つ共有していただきました。NSURLSessionのように比較的簡単にSwiftにフォールバックできるものから、Alamofireのように依存関係解決(Scipio)やObjective-Cヘッダーの追加など工夫が必要なものまで、難易度に幅はありますが「頑張ればできないことはない」という印象を受けました。

現在、会社で導入検討しているクロスプラットフォーム技術としてFlutterとKMPが候補に挙がっているのですが、この「最悪の場合はネイティブで実装できる」という落とし所があることは、KMPを推す上で非常に有力な情報になりました。

Rewind & Replay: Kotlin 2.2 が変えるCoroutine デバッグ最前線

スライド

IntelliJ IDEA 2025.1から、Coroutinesのデバッグ体験が大幅に改善されたことを知りました。具体的には以下のような機能が追加されています:

  • ローカル変数保持 - suspend関数実行中もローカル変数が消失しなくなった
  • Stack Traceの一部復元 - 分断されがちだったStack Traceが追跡しやすくなった
  • ステップ実行の改善 - Coroutineをまたいだステップ実行が可能に
  • Coroutines View - 新しいToolWindowで全てのCoroutineの状態を一覧表示(デフォルトではオフなので有効化が必要)

IntelliJ 2025.1のリリースノートには目を通していたのですが、これらの改善を完全には把握できていませんでした。このセッションで改めて詳しく説明を聞いて、Coroutinesのデバッグがどれだけ楽になるか実感できました。 残念ながらAndroid Studioへの導入はまだ先になりそうですが、これらの機能が使えるようになる日が待ち遠しいです。

コントリビューションの形

Kotlin Fest 2025に参加して、Kotlinコミュニティへのコントリビューションには様々な形があることを改めて実感しました。

勉強会を運営する側としては、Kotlin Festのようなカンファレンスの企画・運営や、スポンサーとして出資することでコミュニティを支えることができます。実際、今回は多くの企業がスポンサーとして参加し、充実した飲食物の提供やノベルティの配布など、参加者の体験を豊かにしていました。

一方、参加者としても登壇してナレッジを共有したり、スタッフとして運営をサポートしたりと、様々な関わり方があります。そして、参加してレポートを書くことも立派なコントリビューションだと思います。オープニングセッションでも「Xやブログで発信しよう」と呼びかけられており、発信することで運営の励みになったり、参加できなかった人にも様子が伝わったりと、コミュニティ全体に良い影響を与えます。

オープニングセッションで運営の方から「参加者の方が書いた質の高いKotlinコードがAIの学習に使われている」という話がありました。自分では気づかないところで、とても間接的ではありますがコミュニティに貢献できていたという発見もできました。

この中から自分にできる範囲・楽しめる範囲でコミュニティに貢献していくことが、Kotlinエコシステム全体の成長に健全に貢献できるのかなぁと思いました。

まとめ

Kotlin Fest 2025は、技術的な知見をたくさん得られただけでなく、視野も広がる貴重な機会でした。 反省点としては、写真をほとんど撮らなかったことです。会場の雰囲気やスポンサーブースの様子など、もっと記録しておけばよかったと後悔しています。 また、初参加でイベントの雰囲気がわからず、アフターパーティーなしのチケットにしてしまったのも心残りです。参加者や登壇者の方々と直接お話しできる機会は貴重なので、次回はアフターパーティーにも参加したいと思います。

最後に、素晴らしいイベントを企画・運営してくださった運営スタッフの皆様、登壇者の皆様、そしてスポンサー企業の皆様に心から感謝いたします。ありがとうございました!

Have a nice Kotlin!

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